死んでいるのは誰?

「昔お世話になった人に会いたい」

母がそういうので、息子と3人で出かけた。

山間の道を私の車で登っていくと、ふいにこじゃれた家があちこちに見えてきた。

どの家もしゃれているが、人の住んでいる気配はない。

そもそも普段住むような感じではなく、なんというか、別荘みたいな、セカンドハウスみたいな、ちょっとの間住む用…という家ばかり。

造成地みたいな山を無理に切り崩した土地に、ブロックをはめこんだみたいに建てられた家がいくつもあり、そろって古びていた。

こんなところに本当にその人は住んでいるのか、と母に聞くと、「昔○○(私の兄)が下宿していた家がこの辺にあるはず」という。

兄は昔長野のどこかに下宿していたが、それは通学のためであり、決して別荘の管理のバイトをしていたわけではないのだが…。

母はぼけてしまったのかしら、と急に不安になってきたが、「あの家だ」というので、母が指さす家の前に行ってみた。

道から高く石を積んだその建物は二階部分にいくつも部屋があるようで、隣接した母屋が大家の住まいであるらしい。

昔は新しかったらしい家は半分壊れて、玄関の戸は明らかにゆがみ、これは無人でしょうよと思ったら中から子供の声がした。小学生くらいの男女の声。

「うわこの部屋も壊れてる。絶対誰も住んでないよ」

どうやらどこかの隙間から勝手に入り込んだようだ。それにしても物怖じしない子どもたちだ。怖くないのか?

「待ってこの部屋は、誰かいるみたいだよ。こんにちは!」

「あっ誰か死んでる!もしもし?もしもーし?」

子どもたちの声に全然恐れがないことがかえってまがまがしい。

もしかして子どもと勝手に思い込んでいただけで、本当は物の怪か何かなのだろうか。

急に怖くなった私たちは、ちょうど来たバスに乗り込んでしまった。

「待って、なんでバス乗るの。車で来たやん」

「おいてけ。とにかく早く帰らないと」

「だって私車の中にカバンも携帯も置いてきたよ。車も道端に止めてるし、邪魔でしょうが」

頑なに拒む母。困る息子。

次の停留所で私だけが降りて、道を戻りながらタクシーを探す。

ちょうど空車のタクシーがきたので飛び乗り、「○○病院までお願いします」と告げた。

「ここから?けっこうありますよ?」

驚く運転手。

「途中でいいです。その角を左に曲がってください」

バスは確か発車してすぐ右折した。それからまっすぐ進んだはず。だから曲がればすぐ車が見えるはず。

ところが曲がって坂を上っても車は見えない。景色もさっきと違う。

これは曲がる角を間違えたのか。だが角はここだけだったような。

行けども行けどもさっきの道とは違う家が見え、それらは静かにゆっくりと朽ちている。

私はいったいどこに向かっているのか。車にたどり着けるのか。

という夢を見ました。二度寝の夢ってろくなもんじゃねー。

まず「バスの路線を確認してタクシーの運転手には停留所の場所を言えばいいのに」とすぐに自分のミスを指摘したんだけど、夢の中ってどうしてあんなにアホなんだろうなあ。